問われる日本のエネルギー将来像(3)
日本の電力会社が他の会社と違う点
1,地域独占
2,総括原価方式による電力料金の算定
3,発電 送電 給電の垂直統合
規制緩和により大口需要家に関しては、電力自由化が進んでいるが、ほとんどの小口消費者については市場競争の恩恵は受けない。
日本の電力料金は諸外国に比べて高いのですが、高い原価に決められた利益率によるところがある。
(停電・電圧の不安定等)高品質を提供するのに、高い費用が掛かると説明されている。
四日市の変電所に一瞬の電圧降下があっただけで、半導体工場の操業に影響を与える例もあったので、高水準の設備投資をしないといけない事情があるかも知れません。
地域独占が認められているのは、戦前自由競争時代には、隣と規格が違ったり配電設備が重複して設備投資効率が悪くなったのが要因。
その後戦時に国有化された9地域の事業体が、現在の電力会社である。
他の電力会社としては、国内炭鉱の消費を目的に設立された電源開発が、発電と送電を行う程度である。
おそらく現在の体制は、大きすぎて変える事は難しいでしょう。
給電に関しては変わる事はないと思いますが、送電と発電に関しては別会社による経営分離なり国営化の選択肢が出てくるかと思います。
原子力発電所の運営を国有化なり分社化した独立系発電会社(IPP)、と電力取引の仲介機能を持つ送電会社と今の地域給電会社 米国の電力会社だとこんな感じです。
発電能力が不足する発展途上国型
独立系発電会社(IPP) 国営・公営 送電・給電 タイ電力公社 中国
ただすべてを市場メカニズムに任せてしまうと、設備投資の余力を抑えたり更新を先延ばしにしたりと、費用を掛けない運営になるので、どこまで送電・配電網の整備をするかが課題になる。
日本の電力会社の場合は、借入金が多く自己資金が少ないので、賠償に対する資金余力に乏しいのが現状ですね。
原子力が使えない場合は、当面は天然ガスによるガスタービン発電所が主力になるでしょう。
大規模需要家は軽油・A重油の自家発電装置を導入する動きもあります。
補完する形で導入コストが高い 太陽光 燃料電池 低周波が気になる風力 保守費用は掛かる地熱等 分散型発電に対応する事になると思います。
2 件のコメント:
電力料金の国際比較(USドル/kWh)
家庭用電力料金
OECD/IEA, ENERGY PRICES & TAXES, 3rd Quarter 2009, p.349
Table 22
Electricity prices for households in USD/kWh
2007年
Denmark 0.344
Netherlands 0.285
Germany 0.263
Italy 0.258
Ireland 0.244
Luxembourg 0.231
UK 0.219
Austria 0.214
Portugal 0.210
OECD Europe 0.203
Hungary 0.188
Slovak Rep 0.188
Spain 0.187
Japan 0.176
New Zealand 0.161
Poland 0.151
Czech Rep. 0.146
Finland 0.145
France 0.158
Total OECD 0.143
Switzerland 0.136
Norway 0.132
Turkey 0.122
US 0.107
Korea 0.102
Mexico 0.093
http://www.oecd-ilibrary.org/energy/energy-prices-and-taxes/volume-2009/issue-3_energy_tax-v2009-3-en
コメントありがとうございます。
欧州の場合は自然由来のクリーンエネルギーの比率が高いため、他の地域に比べて高いようです。
(ドイツは日本の1.5倍)
日本でも太陽光発電の買取が始まり、1kWh=48円から買い取っているようです。
設置コストが年々低下するに合わせて、買取金額も低減する制度です。
中国製が1kWh辺り50万円 日本製だと6~80万程度ですので、10年で概ね償却出来る感じです。
それでも1.4%程度の供給量なので少ないです。
大部分を化石燃料でまかなっている、島の電力会社は料金が高いので、原発を廃炉にするとなると、応分の費用負担をせざるおえない状況でしょう。
震災をきっかけに、アジア諸国への生産移管が進みそうで、産業の空洞化を心配しています。
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